瞬間 レイVer.3
「げ、マミヤさん」
「マミヤさん・・・」
怒っているのではないだろうが、美しい顔に表情を浮かべずにマミヤは言葉を続ける。
「もしかして、と思ったけど。やっぱり食料庫にもぐりこむ気でいたのね。」
頭を抑えながらマミヤはバットを軽くにらむ。
そんな彼女にリンはおろおろと
「ち、違うのよ、マミヤさん。バットはただ...。」
「ただ...、なあに?」
「...」
黙り込むリンに目を向け、再度ため息をつく。
「確かに子供たちに充分な食べ物を渡さず、飢えさせておくなんて・・・。
指導者として失格だわ。
でもこの前の牙一族の襲撃で村はまだ回復していない。
それに将来、またあんな野党が襲ってこないとも限らない。だから...」
「だからって、あんなにたくさんあるじゃんか。
少しくらいいいじゃねえかよ。このケチ、いけず!」
「バット!!!」
急いでリンがとめる。
あわててマミヤを見ると、彼女はその顔からますます表情をなくしていく。
レイも状況は分からないが、バットを止めた。
「バット、いい加減にしろ。なぜお前がそんなに固執するのは知らんが、
このご時世、食料を蓄えていくのは当然のこと。お前にもわかるだろう。
なぜそんなにマミヤにかみつく。」
くっ、と黙り込むバット。
「・・・違う、違うのよ。バットは...」
リンが必死にとりなそうとするが、その言葉は途中でバットの言葉にかき消された。
「・・・ただ。ただ俺はペルを立派な漢(おとこ)にしたいんだよ...」