喜劇と悲劇
それは相反するもの。
それは同一なるもの。
ある一つの事象がおこっても
周囲にとっては笑い事だが、
当事者にとっては笑い事ですまないことがあるのだ
(Nojika語録3章 足の小指強打したら笑われたよ、コンチクショーより)
白衣の悪魔現る! Vol.4
粉々になった体温計を痛ましげに見ていたマミヤ。
俺の事に気づいたのはたっぷり10分たってからだった。
「ちょ、ちょっと、レイ。口からも出血が。
それに傷口からもさっきよりも激しく・・・」
遅いよ。お前。
体温計>>>>>>>俺か?
え、血だって?
ああ、そうだな。そりゃ血もどんどん流れるさ。
涙まで流れてきたぜ、コンチクショー。
かすれる視界の先には
赤一色。
ポタッ、ポタッ、ポタッ、ポタッ
とめどなく流れる血。
その光景を見て
「どうして、薬が効かなかったの?」
と動揺するマミヤ。
いや、安心しろ、マミヤ。薬は間違いなく効いている。
生命危険レベルに達する効果を発揮している。
流石はメディスンシティーの薬だ。さぞかし高価だっただろう。
すまないな、そんな薬を使ってもらってなんなんだが、
投与目的真逆ーーー!!!
もう何もいえない俺を見て、
口元をキッと結ぶと、
おもむろに、俺の胸の傷口に手を伸ばす。
止める気力も無く、ただぼんやりとマミヤを見つめると
さわさわと胸の中央を手でなぞる。
「なにを・・・ 」
するのだという後半の台詞は続けることが出来なかった。
マミヤの目つきがあまりにも真剣だったから。
そう、それは、獲物を捕らえて狙いを定めるが如き蠍のように。
ススススと指をスライドさせると
クワッと目を見開くと
「止血点!!!」
と胸の一点をうった。
俺、今、小宇宙を感じました。
Jump系だが、漫画が違うぞ、マミヤ
しかもそこ止血点でもない、違うぞ。
そこは
ツボだ。
緩慢に流れていた血が勢いを吹き返し、
次の瞬間、噴水の如く血が噴き出した。
フッ。
誰も思うまい、こんな怪我人にあれほど血があろうとは。
流れ続ける血を眺めて、現実逃避を起こす俺。
大量の出血に同じく放心の体のマミヤ。
ポツリと一言。
「ああ、天井にまで血が。掃除が大変」
俺は何も聞かなかった。
何も聞こえなかった。
聞いてない。
聞いてないぞー