涙2 Sideレイ 


満天の星空の元。

己の腕の中で泣きじゃくる女。

初めて見る、そんなマミヤの姿。

弟の死にすら気丈に振舞っていた彼女。
己の命も顧みず、村を救ってくれと、必死に訴えた彼女。
叶わぬ愛にも関わらず、迷い無くケンシロウを追いかけていった彼女。

しかし、今自分の腕の中で無防備に涙を見せているのはただの女。
弱く、繊細で、ひどく傷ついた一人の女。

 

気丈に振舞っていたとしても、やはり女。
己の命があと僅かと知り衝撃を受けぬものなどいない。


静かに涙を流し続けているマミヤに、
レイは抑えられないほどの愛おしさがこみ上げてくるのを感じ、腕の力を強めた。

少しでも彼女の悲しみを癒したい、せめてこの瞬間だけでも。
更に腕の拘束を強めたとき、マミヤの呟きを耳に捕らえた。

 

「…ん…さい。…なさい。」

何?
神経を耳に集中する。


マミヤはほとんど呟くようにその言葉を反復する。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。」


(…マミヤ?何故あやまる?何を謝るのだ?)

彼女の顔を覗き込もうとするが、視線を合わせようとしない。
こみ上げる嗚咽を止めようともせず、
ただこの言葉しか知らぬように繰り返す。

 

「ごめんなさい…。」

 

…ああ、そうか。私

は…。

 次へ