涙1 Side マミヤ
星が瞬いていた。
普段と変わらない星々の輝き。
その美しい光に、これほどの絶望を感じる日が来ようとは。
涙が止まらない。
必死に堪えようとすればするほど、次から次へと零れ落ちてくる涙。
人目もはばからずマミヤは、レイの腕の中で泣きじゃくった。
頭の中で繰り返されるは先ほどのレイの言葉。
「あの星を見たものは、じきに死を迎えるという」
ウソだといって欲しかった。
冗談と否定して欲しかった。
だって、間違いなく、自分には、
その星が見えたから。
なんという絶望。
北斗七星の側でひっそりと輝く星。
あの星のように彼の側にいられたら、とかつて願ったことがある。
ケンに愛されなくても良い。ただ側にいられたら。
しかし今となってはその願いも無残に打ち砕かれた。
予測していたエンディング以上の、残酷な結末が自分の前に広がっている。
以前、トキを探す旅の途中である老婆から告げられた言葉。
「その先に待ち構えるは、死。」
「運命に従うも運命、逆らうも運命。万物は不変ではない」
「己の運命は己の手で切り開くのじゃ」
その時は老婆の言葉に勇気付けれられた。
あの男に連れ去られて以来、女の身でこの世紀末を戦ってきた。
己の運命を己の手で切り開き、己の手に掴む為に。
でも今は…。
いま、現在、自分の先にあるのは避けられない運命、死だ。
これが決められた運命というのか。
辛い。
悔しい。
村を守ると、両親に代わって村人を守ると誓ったのに。
所詮どんなにがむしゃらにあがいても、運命には敵わなかったというのか。
…そして、辛さや悔しさよりも、何よりも。
大きな悲しみがマミヤを支配する。
かなしい。
悲しい。
哀しい。
え・・・。
どうして・・・?
どうしてこんなに私は、かなしいの?
死と隣りあわせだった戦いの日々。
死などとうの昔に覚悟していたはずなのに。
死を恐れているのだろうか?
それとも運命に翻弄される己の力の無さに?
ふと見上げるとレイの瞳。
その優しい瞳をとらえた時、理解した。
涙がまたこみ上げてくる。抑えられない…。
…ああ、そうか。私
は…。