もしも人から、何故彼を愛したのかと問いつめられたら
「それは彼であったから、それは私であったから」
と答える以外には、なんとも言いようがないように思う。
モンティーニュ エセーより
Aucune raison.
あの方が好きなのです。
あの方の瞳は私なんかを見てないと分かっていても。
あの方をお慕いしてるのです。
あの方の強すぎる野望がこの世界を流血と暴力に彩られたモノに変えようとしていても。
あの方が大切なのです。
あの方が私の大切な同志達をその手にかけていても。
あの方を愛しているのです。
例えそれが、主と父の命に背くこととなっても。
理由なんてどうでもよいのです。
訳なんて何にもないのです。
あの方があの方だから。
そう。あの方だからこそ。
そして
私が私だから。
ええ、私だったから。
過去も、現在も、そして未来も。
この命が尽き果てるまで。
いいえ、死して尚。
私は。
私であるが故に。
あの方を全身全霊で愛するのです。
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