ブルブルブルブル






子犬のように身を震わせ俺に抱きついてくるシュウ

はっきり言って迷惑以外の何モノでもない







窓の外に展開される雲の世界を眺めつつ、俺はため息をつく。





勘弁してくれ・・・・・、と。








ほうじ茶日記 Vol 15   お空の旅






というか何で俺がこいつの世話をせなならんのだ!!
鬱陶しい!熱い!!重い!!!離れろ!コラ!!
レイのとこでも行け!普段から『親友』『親友』って呼び合ってるだろう、お前達。


え・・・?レイは飛行機が飛びたつや否や、すぐに席を立ってしまっただと?
・・・・あ、あいつめ。スッチー(死語)をナンパしに行ったか・・・。
乗務員控え室にいるあの後姿は・・・、まさしくヤツのもの。









じゃあ、ユダは・・・。

・・・駄目だ・・・。機内販売化粧品カタログを食い入るように見ている・・・。
メモを取り出して、電卓まで叩きだしている・・・。

声をかけようものなら、技が飛んでくるな・・・。








サウザーは・・・。

あああ!!!スッチー(死語)から貰った飛行機の模型を一心不乱に組み立ててる・・・。
おい・・・。それって小学生とか子供用のおもちゃではないのか?

「山折と谷折の違い」だと?知るか!!っつーか真剣に作るな!
同列に座っているこっちが恥ずかしいわ・・・。










そして・・・。

「なんでこんな鉄の塊が空を飛ぶのだ・・・」



俺にしがみ付いたままブツブツ呻くシュウ。
既に涙目だ・・・・・。









おっ!!

エアポケットに落ちたようだ。機体が揺れた・・・。

ってシュウ!!念仏を唱えだすな!!

「南無阿弥陀仏。南無妙法蓮華経・・・」そして手では十字を切る。 おいっ!・・・お前の宗派はなんだ!!
「死ぬ時は一緒、みんな一緒だ。怖くない・・・」って縁起でもないことをいうな!!







ますます力を込めて俺にしがみ付くシュウ。




ああ・・・・。
血が止まる・・・・。
やばい、徐々に腕の感覚がなくなってきた・・・・。














頼む!





一刻も早く目的地に到着してくれ・・・。





俺は心の底からそう願った・・・。


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