「この村に俺の女がいるはずなんだが・・・。」
突然後ろから声をかけられ、マミヤが振り向いたその先には・・・。
星条旗を模した衣装を身にまとった、やたら派手な大男の姿があった・・・
ガチンコ☆バトル
「おい、ねーちゃん。聞いてるのか?」
目の前でフリフリされる手。不思議そうな台詞に。
脳内でかかってた、
某大国のテーマソング(チャ〜ンチャチャ〜ンチャ〜ンチャ〜ンチャ〜ン♪)は
強制終了となり、
再び意識を眼前の男に向ける・・・。
『な、なんなの・・・。この妙にアメリカ〜ンな漢は・・・』
今まで多くの漢たちと出会ってきた・・・。
化粧の濃いオカマとか。
初対面でセクハラしてくるスケベとか。
無愛想で無口な眉毛とか。
出会いしな速攻で吐血したお兄さんとか。
やたらビックな世紀末覇者とか・・・。
例を挙げればきりがないほど、多くの漢達を見てきたはずだった・・・。
だが、
この漢は・・・・
「新ジャンルだわ・・・」
思わず呟くマミヤ・・・
「ん?なんだって?」
「はっ!いいえ。なんでもないの・・・・。ところでご用件はなんだったかしら?」
うわあああああ・・・。タレ目だわ・・・・。
内心で爆笑しつつ、ようやく本題に戻るマミヤ。
「だから、ここで俺の女を預かってもらってるって聞いたんだがな・・。いるか?」
うん?女って・・・。
最近妙齢の女性ってここに滞在してたかしら・・・?
「えっと。どなたのことを仰ってるのかお聞きしてもいいかしら?」
「アスカだ・・・」
沈黙
「俺の・・・女?」
「ああ、俺の女だ・・・」
「女って・・・」
「だ〜か〜ら〜。俺の女っていえば女なんだよ!!!」
つまりはコレだ!!
ビッ!と小指を立てて決めポーズをとるアイン
次の瞬間
タレ目がちなその顔面めがけて
必殺ヨーヨーが繰り出された・・・・・・。
「どこの世界に実の娘を「女」呼ばわりする父親がいるのよっ!!!」
吼えまくるマミヤを必死になだめるはバット。
傍から見てて、可哀想な位蒼褪めてオタオタしてる。
もうすっかり成長して、身長もマミヤをとうに追い抜かしているが
少年時によくマミヤに叱られることが多かった彼。
ガタイは大きくなっても、未だ上下関係には変化は見られないようだ・・・。
「てっきりアスカちゃんを浚いに来た悪党とばっかり思っちゃったじゃない!」
「父親だって言われても信用できないし!」
「悪党じゃなかったら、変態よ。変態!!ロリコンよ!!」
ブルン!
腕を大きく振り回して、怒りを顕にするマミヤ・・・。
そして
『俺の方が愚痴りてーよ』
と項垂れる
「バット!!ちょうどいいところに!!不審者よ!アスカちゃんを狙って・・・」
自分の姿を認めるや否や、発せられた言葉はそれだった。
久しぶりに帰ってきた懐かしい村。懐かしい人。
そして、そこには
つい数日前に別れたばかりの懐かしい
見事なまでにボコボコにされて、簀巻きにされ彼女の足元に転がってる。
あの時の衝撃は・・・。言葉では表せない・・・。
誤解を招いた「娘の呼び方」について補足説明を行い、
「悪いやつではない」「大丈夫だから」「変質者でもないって。マジでアスカの父親!」とフォローし、
アスカ呼んで面通しをまで行って・・・。
ようやくアインは解放されることとなったのだ・・・・。
「全く傍迷惑な・・・。ビックリして寿命が縮まったわよ・・・。」
ブツブツ呟き続けるマミヤに。
『いや、寿命が縮まったのはむしろ俺・・・』
そういってやりたいが、如何せん幼少時からお世話になってる身・・・。
ただ深くため息をつくだけだった・・・。
おまけ
「くそー。なんだあの女はー!!」←痛む腹をさすりながら。
「パパ、大丈夫?」←父親の側に駆け寄り心配そうに。
「ああ。大丈夫だ(にっこり) それよりもアスカ。お前こそあの暴力女に虐められたりはしていないか?」
「そんなことないよ。とても親切にしてもらってるわ」
「隠さなくてもいいんだぞ・・・。それにしてもケンシロウめ。
あんな女にアスカを託しやがって。アスカまで凶暴になったらどうしてくれるんだ。」
「パパ・・・・」
「きれーなおねーちゃんだと思ったら。中身はゴリラだな、ゴリラ。」
「・・・・」
「今度あったら動物園に連れて行ってやりたいくらいだ。あのゴリラ女め・・・」
(いつの間にか二人の後ろにはマミヤとバットの姿が・・・・)
「・・・・・・・」 ←マミヤさん
「・・・・・・・」 ←バット
「・・・・・・・」 ←無言でヨーヨーを構えるマミヤさん
「・・・・・・・・」 ←バット、頭を抱えてうずくまる。
チ〜〜〜〜ン
第二試合のゴングが鳴り響いた。