Trick or treat


乱れている呼吸をどうにか整えようとしたが、上手くいかない。
濃厚な情事で、もう指一本動かす気力が無い。

自分をこんな目に合わせた人物といえば、
未だ身体の拘束を緩めず自分をその腕の中で抱いている。



「…こんなことだったら、なにが何でもご馳走とやらを探すべきだったわ」

かすれた声で小さく呟くマミヤ。

「なんだ、まだ分からないのか?俺の大好物が?」
ククク…
笑いながらマミヤに問いかけるレイ。

「お前はよく知っているものだぞ。」

まだ合点がいかないマミヤ。

その顔を優しく手でつつむ。
頭を優しくなでつつ、慈愛に満ちた表情で一言。

「そうか、ならば教えてやろう。」


身体を起こし、再びマミヤにかぶさってくるレイ。


ん? え、え、えぇー。ちょっとー。ちょっとー??
ご馳走の話だったわよね。なに、この展開。
む、無理。もう、無理!!無理だってばー!!!

力のこもらぬ身体で精一杯レイを止めようとするマミヤ。
しかし、その抵抗はあっさりとレイに抑えられ、組み敷かれ。

そして、レイは嬉しそうな顔で、


「いただきます。」


とのたまったのだ。

 

暗転



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