大晦日〜新年の光景  レイ&マミヤ



ハッ、ハッ、ハッ・・・。

乱れた呼吸をどうにか整えようと、息を吸い込む。



結婚してから、毎夜レイに抱かれるこの身体。

彼の愛撫に思わず漏らす嬌声、反応する身体。
コントロール不能な感覚に支配され、
意識を最後まで繋ぎとめておくことすら難しい・・・・。
恥ずかしくて、未だに慣れることの出来ないこの行為。


今宵も、深く深く快楽の波に飲み込まれた・・・・・・・・。


元凶であるレイはというと。

少しも息を乱さず、その細い指で私の髪を飽きることなく梳いている。


ニヤリ

質のよろしくない微笑を口元に浮かばせつつ、

「年が明けたようだな」

耳元でそう囁く。




「そう・・・、なの?」


年が明けただの、明けないだの、そんな余裕は正直なかった。
与えられた快楽に、熱に翻弄されていたのだから・・・。


そんなことより、依然として私に覆いかぶさったままのレイ。
重いし、息がしにくい。
出来ればさっさとどいて欲しい。



「ああ、年が明けたようだ。新しい年が・・・」
でも彼にはどいてくれる気配がない・・・

「そうなの。気づかなかったわ」
と素っ気無く返答。
そのまま無視してやろうと考えた次の瞬間。


「お前がイイ声で鳴くものだからな。除夜の鐘を聞きそびれてしまった」

一気に血液が上昇した。


「だ、だって。それは貴方が・・・!!!」

「ん?俺がどうした?」



暗闇からでも分かるレイのたのしそーな表情。
・・・・・楽しんでる、このシチュエーションを。

腹立たしさ半分、恥ずかしさ半分で。
どうにか上にのっているレイを押し退けようとするが無理。
そもそも力で勝てるような相手ではないのだ。

わたわたとする私の反応を押さえ込み、嬉しそうなレイ。
観念した私の耳元で、囁きかける。

「あたらしい年だ、マミヤ」

「・・・何回も言われなくても分かったわよ」

ふてくされ気味な口調に、幼子をあやすが如く髪を撫でるレイ。
 ふん、そんなことで私は騙されないわよ。

「今年も、次の年も、その次の年も。お前とこうして一緒にいたいものだな」

先ほどまでのからかう様なトーンは消えうせ・・・。
願いを込めた真摯なまでの呟きに・・・。

さっきまでの、怒りも恥ずかしさも一気に吹き飛んでしまった。



そう、そうだった。
一緒になり、平和な時を過ごしているとはいえ、彼はあくまで拳士。
北斗神拳と並ぶ必殺拳、南斗聖拳。
南斗水鳥拳伝承者、レイ。
再び戦乱の世となれば、彼は闘いの場へと赴くであろう
それが彼の宿命。
この小さな村、身内、そして自分を置いて・・・。否、守るために。
それがこのレイという漢だから・・・・。




縋りつくかのようにたくましい背にまわした腕に。
小さく震える身体に。
不安げに揺れる瞳に。


(だいじょうぶだ)と
レイは優しい口付けで応えてくれた。


「知っているか、マミヤ。新しい年を迎えるその瞬間に、自分がしていたことが、
その年の一年を決めるということを」

「え・・・?」
突然の話題転換に対応しきれず、クエスチョンマークを飛ばす私を尻目にレイは続ける。

「例えば、友と一緒に過ごした年は、翌年も友人に囲まれるというし。
酒を飲んで過ごした年は、翌年も酒を飲む方向で進むという」

「初耳だわ。誰からの情報?」

「うむ、道場の先輩だ」

レイの脳裏にはほうじ茶片手に佇むシュウの姿。

「その法則でいくと今年はお前の側を離れない、ということになるな」

「・・・・・・・・!!!」

 全くこの人は!
 普段はクールなのに。
 こんな臭い台詞を臆面もなく吐き出す。

 一番欲しかった言葉を・・・




「そうね。きっとそうだわ」

精一杯の微笑でにじみ出た涙を誤魔化す。

どうか、どうか。
 彼が今とかわらず。
  私の側にいてくれるよう。

心から願った。



「と、言うわけで」

「??????」

?を飛ばす私の頬を優しくその指でなぞると

「も一発いくか」


にやり、と

爆弾を投下した。



「無理、絶対無理。無理だったらーーーーー!!!」


私の抵抗はどこ吹く風で。

「そうかな?」

耳朶を軽く噛むレイ。

言葉とは裏腹に、
先ほどの情事の余韻から冷め切らぬ身体は(哀しくも)反応してしまい・・・・。



「秘め始め、スタート♪」





暗転





後書き



「ぼ、煩悩たいさーん!!!!!」

「フッ、お前への熱き想いが。
ちゃちい鐘でなくなるものか!!
いざ二回戦!!


レイ 年またいでのラブラブ劇
年越しエッチ、きっと狙ってましたよ。って。



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